Yasuo's Notebook

ソフトウェア開発の話題が中心の備忘録です。

アギレルゴコンサルティングさん主催の認定CSPO研修を受けました

1/10、11にアギレルゴコンサルティング株式会社主催の認定スクラムプロダクトオーナー研修(以下CSPO研修)に参加してきました。
http://jp.agilergo.com/12
SCRUMの認定スクラムマスター(以下CSM)については、取得している方も多く、知名度も高くなってきましたが、CSPO研修が日本で最初に行われたのは2010年の12月。ソフトウェアエンジニアとして働いている方の多くは、「まずは、CSMを!」と思われているかもしれません。
私は、CSMはもちろんですが、認定プロダクトオーナー(以下CSPO)に強い関心を持っていました。なぜなら、経験上、スクラムマスタ、開発チームがフレームワークに行動することは、チームメンバーが「そのやり方でやろう!」
というモチベーションを持っていれば、それほど難しいことではありません。
ところが、プロダクトオーナー(以下PO)となると話は変わってきます。組織的にトップダウンでSCRUMをやるという場合の除くと、POになってほしい人は、今までのやり方を変えてSCRUMを学ぶ動機もありません。
そのような人にPOとしての振る舞いをしてもらうように促すにはSCRUMにおけるPOの本質から具体的な手法まで、深く理解し、説明し、場合によっては、やってみせることが必要です。
つまり、SCRUMを導入したい方にとって、POについて学ぶことは、もっとも重要なことの一つだと私は考えています。
今回のCSPO研修はJim Coplienさんを講師に迎えて行われました。
Jim Coplienさんについては、以下にとても網羅的な紹介がされていますので
是非、ご覧ください。

http://www.hyuki.com/yukiwiki/wiki.cgi?%A5%B8%A5%E0%A1%A6%A5%B3%A5%D7%A5%EA%A5%A8%A5%F3

私は、「マルチパラダイムデザイン」「C++の筋と定石」を持っていて、今回、「マルチパラダイムデザイン」にしっかりとサインを貰いました。
(平鍋さんと羽生田さんにもサインをもらってコンプリートを狙ってます!)

研修の内容を少し紹介します。
まず、面白かったのが、研修のトピックがカードになっていてを参加者同士が話し合って話してほしいトピックの優先順位を決めることでした。
トピックのカードには、依存関係、スライド枚数も記載されています。実際の講義のペースからベロシティを考えて、優先順位を変えていくというPOとしての実践がとてもうまく入っていました。
研修では、SCRUMの基本をしっかりと押さえつつ、実践的エクササイズや、高度な内容まで盛りだくさんの内容でした。
その中で最も印象に残ったエクササイズを紹介します。このエクササイズでは、2人1組になって、マネージャ役が開発者役に進む方向や歩幅をいちいち指示して、その通りに歩くというものです。歩ける範囲は狭い範囲に制限されていて障害物もあります。その中を全組が歩くものですから、お互いが邪魔で全然うまく歩けません。そして今度は、開発者が自由に歩いてみます。今度は、開発者は自分で歩けるところを判断して歩いていきます。今度は断然スムーズに歩けました。過剰なコントロールが如何に悪影響を与えるかを実感することができました。私がこのエクササイズでハッとしたことは、コントロール無しで歩いていた際には、他の開発者がどう歩いているかをお互いに観察して、同じ方向でスムーズに歩けるように進路を調整していたということです。思考を停止して言われた通りに動くのではなく、自分たちで考えて協力し合うことの大切さに改めて気付きました。
また、私としては、プロダクトバックログアイテム(以下PBI)とユーザストーリ、ユースケース、フィーチャ、従来の仕様記述との関係についての詳しい解説がとても勉強になりました。
プロダクトバックログアイテムと要求の表現方法との関係については、今まで手探りで実践していたため今回の講義内容はこれからの指針として、活用していけると思います。

最後にJim Coplienさんが、研修中で「POは~」とおっしゃっていたことを抜き出してみます。

・POはプロダクトの価値を最適化する。
・誤りのほとんどは、POの悪い要求により発生する。
・POはプロダクトバックログを通じてのみ、コマンドを出せる。
・POは命令権はもっているが、指揮権はもっていない。
・POの仕事はリスクマネジメント
・POはROIに対する責任を持つ
・POの仕事はステークホルダの関心を代表すること
・POは期待をマネージする。
・POは、チームを信頼し、ときにはチームを失敗させてあげる
・最後に、SCRUMの一番の障害は何か? それはあなた達(PO)だ!

POに興味を持っていただけたでしょうか?
今後も日本でCSPO研修が企画される機会があると思いますので、チェックされてはみてはいかがでしょうか?