Yasuo's Notebook

ソフトウェア開発の話題が中心の備忘録です。

カンバン仕事術

「Kanban in Action」の日本語訳が発売されました。題して「カンバン仕事術」、そのタイトルの通り、特定のソフトウェア開発手法の紹介ではなく、多くの現場で適用できる具体的な方法が書かれています。

www.amazon.co.jp

今日現在、Amazonに在庫がないですが、ヨドバシは在庫ありのようです。

http://www.yodobashi.com/カンバン仕事術―チームではじめる見える化と改善-単行本/pd/100000009002541510/


第1章では、チーム「カンバネロス」というチームがカンバンを活用して仕事を改善していく物語になっています。とても楽しく読めて、カンバン仕事術の導入によってどのような問題が解決されるのかを共感を持って理解することができます。
そして2章以降では、カンバンの基本と応用についてしっかりと解説しています。
内容について是非、本を手に取って読んでいただければと思いますが、私が特に気づきがあったところを少し紹介します。

1.電子とアナログの二重帳簿問題
カンバンは基本的にはアナログで実践しますが、開発チームが分散している、メトリクスを分析したいなどJIRAやRedmineのようなシステムでも管理をしたいというニーズがあります。
本書では、この二重帳簿問題について方針が書かれています。特に「電子システムでは、簡略化されたワークフローを確認できるようにしておこう。」(P.80)というやり方は今まで考えたことがなかったので「なるほど!」と思いました。

2.優先順位フィルター
優先順位をうまくつけるために、優先順位3、優先順位2、優先順位1のような列を用意してWIPを制限することにより適切に優先順位付けが可能になるというテクニックです。
全ての項目の優先順位が高くなってしまうというよくある問題に対して、非常に効果的な方法だと感じました。

3.根本的原因分析
ふりかえりを実施しても、チームで解決が困難な問題については表面的な対処になりがちです。そのような難しい問題を解決するには、問題の真因を明らかにして共有し、知恵を絞って根本的な問題を解決する対策を立案、実行する必要があります。
「10.2 根本的原因分析」ではいわゆる「なぜなぜ分析」を活用し、自己強化型ループのような因果ループを使って問題の構造を明らかにする方法が解説されています。
実はこの方法は私も実践することがあって、非常に効果的ですので、ふりかえりで表面的な改善しかできていないと感じている方はこの本を読んで是非実践してみてください。

この他にも、たくさんの知恵がこの本で紹介されています。
チームの人数などの制限でなかなかスクラムを導入できないという人も、本書に書かれている方法はすぐに取り入れることができます。そういう活用範囲の広さが「仕事術」というタイトルにメッセージとして表されていると感じました。
まずは、自分の今の仕事を、カンバン仕事術を使って改善してみましょう。