Yasuo's Notebook

ソフトウェア開発の話題が中心の備忘録です。

エクストリームプログラミング新訳発売!

エクストリームプログラミングの新訳が出ました。角 征典さんによる翻訳です。

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アジャイルというと最近はスクラムの話題が中心になっていますが、私がアジャイルを知ったのは2000年ごろはXPが雑誌等にも取り上げられ一種のブームとなりました。
最初に私がアジャイル開発に取り組んだときもXPをベースにやり方を考えました。
エクストリームプログラミング(XP)は、私が初めて知ったアジャイル開発手法です。
その時点ではアジャイルという言葉はまだ広まっていなかったと記憶しています。
実際にXPを実践することができたのは、XPを知ってから数年後の2003年でした。
その後、スクラムが広がってきて、最近では、XP=技術プラクティスというような語られ方をすることが多くなってきたように思います。今回新訳のレビューに参加させていただいたことをキッカケに、改めてXPについて考える機会を得ることができました。
そこで感じたのは、XPはより自律したチームになるための考え方であるということです。
スクラムにはPO、SM、チームというロールが明確に決められています。そしてそれぞれのロールで実行可能なアクションが定められており、例えば、プロダクトバックログの優先順位はPOのみが決めることができます。
このスクラムフレームワークは、健全なチーム開発を行なうための「失敗しにくい枠組み」を提供しています。一方でXPでは、XPの価値に従ってチームが自ら原則を定めてチームの行動原理を決め、それに従って行動の内容であるプラクティスを決定します。
そこにPOやSMなどのロールという考え方はなく、チーム自身が自律して、行動原理を定めることが求められます。そういう意味でXPはスクラムより自由度が高く、一方で初学者には理解しがたい面があると感じました。
最近はもっぱらスクラムで開発することが多いですが、組織がスクラムに慣れてくるとPOや、SMなどのロールに縛られないほうが良いチーム開発ができるのは?と感じる場面もたびたびあります。そういう場合に、もう一度、XPに立ち戻ってみるのもいいかもしれないと思いました。
ちょっと乱暴ですが、今回の新訳を読んで「失敗しないスクラム」「より高みにいけるかもしれないXP」という感想を持ちました。
XP本を昔手にした人も、スクラムを実践しているけどXPはあまり知らないという人もこの機会にこの本を読んでXPに触れていただけると幸いです。