Yasuo's Notebook

ソフトウェア開発の話題が中心の備忘録です。

「How to Change the World」を読みました。#h2ctw

How to Change the World 〜チェンジ・マネジメント3.0〜 - 達人出版会 を読みました。(献本、ありがとうございます!)翻訳者の方々は良く知っている方々で、このような内容の本を訳すのは難しいと思いますが、さずが、素晴らしい訳に仕上がっていると思いました。

冒頭でモヒートメソッドという著者の考え方について紹介しています。

複数の情報源からのさまざまなアイデアをミックスすると、既存のアイデアを単に集約したものではなく元のアイデアよりずっと良い新しいアイデアを生み出せる

これは、私もずっと意識していることなので、とても著者に共感できました。
チェンジマネジメントを実行する中で、色々な立場の人と対話することが多いと思います。複数の立場の人と折り合いながら、かつ、単にそれらを足し合わせたものではなく、今以上の価値がある方向へと変化していくためには、このような思考を持っていることがとても重要だと思いました。

「システムとダンスする」というのは、とても面白い表現だと思いました。「組織を変えたい」と思ったとして、その「組織」は止まってはおらず、ある方向性をもって動いている存在だと思います。相手の動きに合わせつつ、うまくリードしていく、こちらの行動に対する反応を見て行動を変えたりするなど、とてもフィットするたとえだと思いました。

人々を変えようと思ったら、合理的なメッセージを送るだけでは普通は不十分である。他者とコミュニケーションやコラボレーションをするにあたっては、彼らが時には助けを必要とする感情を 持った存在として接する必要がある。

「人々を気にかける」の最後の方でこのように書かれていました。多くの組織では、「論理的に考え、説明するべき」「感情的になるのは恥ずかしいこと」という空気があるので、他者の感情にどう働きかけることの実践があまり行われていないように思います。コミュニティ活動などはある意味その訓練になっているのかもしれません。Agile JapanでLinda Risingさんが言っていた「人は感情で判断してから、論理を作る」というのを思い出します。組織の中で感情に働きかけることを重視している人が少ないのであれば、自分がそれを意識して実践することができれば、チェンジマネジメントを行う上で大きな武器になると思います。

境界線の中の自己組織化という話は、先に投稿したスクラム導入で開発を取り巻く矛盾はなくなるのか? - Yasuo's Notebookで書いた内容に通じるところがあると思います。よく、「組織の境界を取り除こう」という話は聞きますが「境界を作る」ということにも言及されていて共感しました。インセンティブのところの、「良い振る舞いに対する褒賞」と「良い結果に対する褒賞」は異なるというという部分もその通りだと思いました。

この著者の方のManagement3.0(http://www.management30.com/)という本はてつ。さんのブログ(Always All Ways)で紹介されていて、読んでみたいと思っていたのですが、Kindle版を読もうと思います。また、Ryuzeeさんからアナウンスがありましたが、来年早々に本書の著者のJurgen Appelo氏が来日されるとのことです。こちらも要チェックですね!

http://www.ryuzee.com/contents/blog/5841