Yasuo's Notebook

ソフトウェア開発の話題が中心の備忘録です。

事例のコンテキストを知る目的

最近、事例などの発表や議論の際にコンテキストを明示することが意識されてきていると感じています。
コンテキストを意識することの重要性は以前から@smorisakiさんが発信されていて、以下のエントリでも解説されています。
http://blogs.itmedia.co.jp/morisaki/2010/07/post-0672.html
また、以前、ご寄稿いただいたEMWEST Vol.2の記事でも解説されていますので興味のある方は読んでいただければと思います。
http://www.manaslink.com/em/emwest/vol-2-2/

コンテキストを意識することが広がってきて、最近感じていることは、事例などを聞く際に最初の方で「自分とコンテキストが違うから参考にならない」と判断してしまったり、議論の際に「コンテキストが違うから議論は意味がない」となってしまって浅い議論で終わってしまったりすることがあるのではないかということです。
世の中で自分とバッチリ一致するコンテキストを持った人は滅多にいないことから、上記のような考え方を持ってしまうと、せっかくの気付きを得る機会を失ってしまう可能性があります。

前述した@smorisakiさんのブログのエントリを改めて読み返すと、以下のような言葉が書かれています。

うまくいったのは、どんな状況下で制約を満たしていたからかという分析を進め、他のプロジェクトやソフトウェアでの効果を推測できるようにする。

この部分が私は大切だと考えています。
何人かの方とこの話題で話をしたのですが、複数の異なるコンテキストを背景とする事例を比較することで制約と実施した内容と結果の関係を考察したり、事例を抽象化して捉えて、他のコンテキストでどのような結果になるかを推測してみることが有効だと感じました。
ちなみに、私は自分とはかなり異なるコンテキストを背景としている話を聞くことが好きです。正反対のコンテキストと自分のコンテキストを比較した方が、似たようなコンテキストとの比較よりも、差異や本質的な共通点が見えやすいからです。
「コンテキストを意識する」から一歩進んで、より深い議論をする道具として活用していきたいです。